1959年版「細雪」上映会記念(2)芦屋川駅周辺ロケ地紹介など

4月2日から6月26日まで、芦屋市谷崎潤一郎記念館では2011年度春の特別展
「四姉妹の昭和―よみがえる「細雪」の世界」を開催しています。

それに関連して、5月21日(土)、芦屋・ルナホールで1959年版 映画「細雪」(未DVD化)の上映会が開催されます。http://blog.tanizakij.net/?eid=80
三度映画化されたうち、本作だけが原作の舞台の兵庫県芦屋市・西宮市でロケを行っています。映画鑑賞の前後にロケ地探訪が出来ますよ。


お春どんは何と三つ編みにスカート。芦屋の家の近くでフラフープ*1で遊ぶ子供たち、東京の象徴として映る東京タワー、東京で白黒テレビで台風を知る雪子、板倉の両親を妙子が(大阪城と)通天閣へ案内など原作から離れた昭和30年代の風景が展開されます。


前回芦屋川駅の定点対比を掲載しました。
今回は、少しストーリーに沿って芦屋川駅周辺のロケ地を紹介してみます。
オープニング映像は、山から海に向かって俯瞰した芦屋の街をバックに縦書きのスタッフロールが左から右へ流れて行きます。


1959年版「細雪」は、阪急電車に始まり、阪急電車に終わります。

2011年5月6日 最初は雪子が芦屋の蒔岡家に来る場面から。雪子が乗っているであろう、920系975を先頭にした編成が梅田方面から入線して来ます。この写真は同じように撮ってみたもの。


写真素材 PIXTA
(c) ヨッチャン写真素材 PIXTA

伊丹線運用の920系932、1980年塚口駅にて



920系は甲陽線の運用を最後に1982年に全車が引退しました。1969年8月に西宮北口駅で撮影された975のカラー写真がこちらで見られます。


阪急の旧型車達その6…ミスター阪急 920形(5) - 懐古趣味の鉄道写真帳
 同じ写真が並んでいるのは間違いなのでしょうが、管理人さんに知らせる方法が無い・・・。


2011年5月6日 雪子が駅舎から出てきます。当時とは駅舎が違い、それに駅舎左に丸型ポストが映っていました。
5月22日訂正:正しくは写真の北側の駅舎ではなく、南側の駅舎でした。家は北側なのに。



1959(昭和34)年1月、立体交差が完成した芦屋川駅を南側から見た写真。「芦屋今むかし」より。
5月22日追記:映画で登場するのはこちら側の駅舎です。

2011年5月6日 これは横断歩道から撮っていますが、車の多い今では道路の真ん中をのんびりと歩くなんてとても出来ません。

1959年の写真に「昭文堂」の看板が見えますが、


その書店は同じ場所に健在。建物も変わっていないようです。この辺りから駅に入る階段も映画に映っていたと思います。

1957(昭和32)年、立体交差化前の芦屋川駅を南側・東岸から見た写真。
前回掲載のホームの写真に写っていた火の見櫓の全貌が分かります。現在の写真は後日掲載予定。


2011年2月17日 「細雪」文学碑

蒔岡家は芦屋川駅から北に行った所のようで、ちょうど途中にこれがあります。

2011年5月6日 蒔岡家の近くに、「大僧橋」と書かれた橋が映っており、それは芦屋川の支流、高座川の合流地点に実在しました。読みは「おうぞうばし」。
しかし、映画に出ていた橋と形が違います。「昭和四十一年三月架」とあり、公開7年後に架け替えられたようです。


原作通りに帯がキュウゝ鳴ったりしていましたが、原作冒頭の有名なセリフ「こいさん、頼むわ。」は流れ的に雪子が来る前に済んでいたようです。


ラストは、芦屋川駅から梅田行きの阪急電車に乗り込む妙子と三好を雪子が後から家から追いかけ、ある事を電車のガラス越しに嬉しそうに伝えるというクライマックスでした。原作には有りませんが、好きな場面です。


2011年5月6日 雪子が梅田行きホームの階段を駆け上がる場面・・・・・・のつもりですが、駅舎が建て替えられているため全然雰囲気が違います。映画ではもっと洒落た感じでした。


こんなスチール写真があります。
左からバーテンの三好(北原義郎)、雪子:(山本富士子)、妙子(叶順子)
宣伝用なので、実際はこういう映像はありません。これは白黒写真ですが、カラー作品です。

2011年5月12日撮影&追加
スチール写真には芦屋川駅駅名標が写っているし、関西ドラマと映画の舞台/数々の映画のシーン―兵庫県には西宮の夙川公園と阪急芦屋川駅阪急電車が登場する、と書いてあるではありませんか!


それで実際に芦屋と西宮でロケされているという事が分かってずっと気になっていたのですが、今年2月のシネヌーヴォでの上映は渡りに船でした。


ちなみに、一番有名な3作目の1983年版のラストは、雪の振る大阪駅*2で、鶴子らが汽車で東京へ発つのを大阪駅で貞之助、雪子と東谷らが見送る場面でした(幸子、妙子は欠席)。DVD内資料によれば、大井川鉄道千頭駅がロケ地だそうです。


2011年5月6日 映画には登場しませんが、櫛田医院のモデル、重信医院が芦屋川駅前の商店街にあります。大正末期の建築*3という洋館で、細雪の時代のままの姿を残しています。


次回は、西宮のロケ地を紹介します。→2011-05-18 - きーぼー堂

*1:フラフープは1958年10月18日発売、暮れにはブームは終わった。ロケはまさにその頃。

*2:駅舎は3代目のつもりらしいが、時代が合わない

*3:「ひょうごの近代住宅100選」(神戸・阪神間の洋風住宅)の選定(PDF)