1959年版「細雪」上映会記念(3)夙川・阪急甲陽線沿線のロケ地紹介

5月21日(土)、芦屋・ルナホールで1959年版 映画「細雪」(未DVD化)の上映会が開催されます。http://blog.tanizakij.net/?eid=80
同作では、兵庫県芦屋市と共に、西宮市の夙川、阪急甲陽線沿線もロケ地となっています。原作でも夙川界隈は登場しますが、映画では原作とは違った形で二度登場します。


一度目は、映画の最初の方で啓ぼんが妙子を乗せたオープンカー(!)を乗り回している場面。車は手前に来て、奥を二両編成の阪急電車が横切って行きます。画面左側は木が茂っています。

苦楽園口駅から甲陽園駅に向かって夙川を渡って最初の踏切の甲陽園道(みち)踏切だと思います。

苦楽園口〜甲陽園 1963(昭和38)年8月25日撮影 「関西 電車のある風景今昔2」より
映画で登場しているのはこの300形のはずです。

今となっては、旧景の正確な撮影位置は分かりません。新景は甲陽園道踏切から少し甲陽園駅方面へ行った所で映しました。


二度目は、板倉がうきうきしながら小さな踏切(柵は枕木)で待っている。2両編成の阪急電車が通り過ぎると向こう側に啓ぼんが立っていて板倉は驚く。二人で小さな橋を渡って、こいさん(妙子)の家に何故行こうとしているのかと啓ぼんが怒り、板倉のカメラを地面に叩きつけて壊す。


・・・・・・という場面で、夙川に架かる「こほろぎばし」が登場していました。夙川公園は最近、映画「阪急電車」でもロケ地になっていましたね。

夙川でこんな形の橋は、「こほろぎばし」だけです。

今風に書けば「こおろぎ橋」、架橋年月の表示がありませんが、夙川公園開園の昭和12年からあるのかも。



欄干が低くてちょっと怖い。


この場面で登場する踏切は、ちょっと分かりません。少し歩けば夙川駅甲陽線ホームに隣接した相生町踏切がありますが、あんな速度で電車が通過するはずは無いからです。


夙川のこおろぎ橋について、宮っ子 1983年6月号「特集・橋のいろいろ」にこう書かれています。

全国に「こおろぎ橋」って多いのです。コオロギが鳴くのではなく、「清ら木」―神様が降臨なさると昔の人が信じた―神聖な木が橋のたもとにあったのが由来なのですが・・・。


全国に多いと言う割には、検索しても石川県加賀市山中温泉のシンボルでテレビドラマのタイトルにもなったこおろぎ橋東京都千代田区の堀留橋の別名しか見つかりませんでした。



西宮にある「細雪」の舞台といえば、平松町から国道2号線東海道線の下をくぐる「マンボウ」が一番有名でしょうが、残念ながら映画には出番はありませんでした。


参考:谷崎潤一郎の「細雪」を歩く 西宮編



きーぼー堂 細雪・阪急甲陽線関連記事


1959年版「細雪」上映会記念(1)阪急芦屋川駅の今昔 - きーぼー堂
1959年版「細雪」上映会記念(2)芦屋川駅周辺ロケ地紹介など - きーぼー堂
阪急甲陽線で大正・昭和の面影を探す - きーぼー堂
1983年の阪急甲陽園駅前などを定点対比 - きーぼー堂
ハルヒの舞台の阪急甲陽線水道路踏切の昭和49年頃 - きーぼー堂