長崎県最古とされた駅舎、早岐駅・少女漫画「アオハライド」にも登場


長崎県最古の駅舎と言われていた佐世保市早岐(はいき)駅。大村線佐世保線の駅です。藤井フミヤさんが1983年にチェッカーズでデビューする前、国鉄職員として同駅に勤務していたというエピソードもあります。


旧駅舎は橋上新駅舎完成のため2014年10月10日限りで営業終了しました。
新駅舎開業を伝えるマイナビニュースを10月11日に見て「建て替えてたのか」と絶望していましたが、その後で読売新聞の記事を見たら、旧駅舎で27日まで歴史を振り返る写真展が開催されると判明。まだ旧駅舎は残っていた!


10月17日朝に諫早行き夜行高速バスで長崎入りしました。


諫早駅大村駅を見て、早岐駅に到着。国鉄色のキハ67 1(手前)+キハ66 1です。



あー、改札が封鎖されてる・・・。階段を登り、橋上新駅舎から外へ出ました。


すっきり撮りたいのに、30分ごとに発着する長崎国体送迎バスとの戦いを強いられましたw 発車すると、待機していた次のバスがすぐ入って来てしまいます。



午前11時頃、封鎖された改札口を駅舎内から。こちらは、新駅舎と違って自動改札機はありません。時計は、役目を終えた10月11日午前2時27分で止まったまま*1



扉が開いていて、出札口の中に入る事が出来ました。特に何もありませんでしたがw


天井の意匠に歴史を感じます。既に駅舎としては機能していないものの、良く人が来て写真展を見たり座って休んだりしていました。


2014年にテレビアニメ化・映画化された、咲坂伊緒アオハライド」。10巻から11巻の修学旅行編のうち、11巻収録の39話で何と早岐駅が実名で登場しています。


中学時代に住んでいた街に行くためハウステンボスから勝手に抜け出した洸に、双葉が友達として同行するという場面。ハウステンボス駅の隣が、まさに早岐駅です。




この後、「うん 俺も初めて見た時 悪くないなって思った」と続きます。
出入口の辺り。アオハライドに出ている事を知ったのは訪問後だったため、ちゃんとアングルを合わせた写真がありません。


かなり印象的な描かれ方をしています。



12巻の咲坂伊緒さんの駅舎解体に触れたコメントによると、偶然訪れた駅が「めっちゃかわいくてウキウキしながら写真を撮って」、後日ハウステンボスに近いと知りこの展開を思いついたそうです。こうして解体されてしまうとは、運命的な出会いでしたね。


映画も長崎の修学旅行編ですが、原作のハウステンボス早岐駅(共に佐世保市)は出番が無く、長崎市内の観光スポットが登場しています。


JR九州では、映画の公開を記念して2014年11月20日〜2015年1月9日に「ガチきっぷ」を購入した24名に映画グッズをプレゼントするキャンペーンを行っています。ただ、せっかく原作に登場したのにJRが活用したりせず、期間中に解体されてしまいました。


時系列まとめ(2014年)
4/1:映画クランクイン
4/12:掲載誌発売(別冊マーガレット5月号)
8/25:11巻発売
10/10:旧駅舎営業終了
10/28:囲いが施される
12/3:解体工事開始
12/13:映画公開


ツイッター検索によると読者に「早岐駅が出てる」とある程度反響があったようですが、読んでから初めて行ったという人はどれほど居るでしょう。

気になる装飾。


明治30年の開業時=九州鉄道時代からの駅舎と言われていますが、私は懐疑的です。大正時代改築という意見もあります。


●改札口に1913年(大正2年)八幡製鉄所製レールを使用


●建物財産標には確かに「明治30年11月11日」と書かれているが、建物財産標は後付けで誤りが多い*2


明治30年当時の九州は小さな和風駅舎が一般的で、博多駅折尾駅大村駅門司港駅などの洋風駅舎は明治40年代〜大正時代*3。特に同じ大村線で、建物財産標によれば大正7年(1918年)8月築という大村駅に似ています


明治44年築の鳥栖駅と比べても規模が大きすぎる(どちらも機関区併設)



壁の真ん中の出っ張りは暖炉の跡らしい。

「日本の駅」(1972年)掲載の写真を見ると、確かに今は無い暖炉の煙突があります。大村駅にも、当初は同じような煙突がありました。


参考写真:大村駅。現在の長崎県最古は恐らく大村駅か建築年不明の道ノ尾駅
古写真(トリミング前はこちら)は撮影年不明、大正時代?




ランプは先とは別の70年代?の写真を見ると、存在していません。割と新しいようです。このテーブルはいつの物でしょうか。


地元の中学生が描いた絵がたくさん飾られていました。




新駅舎は、旧駅舎とギリギリ接しないように隣に建てられています。何てつまらない外観なんだ。片方が解体中でも建設中でも無く両方が完全な状態で見られるとは、中々貴重な光景です。


これだと駅前の道路からは全く駅舎が見えない事になるんですが、旧駅舎の跡地はどうなるのでしょうね。


新駅舎2階の改札口付近の内装は、ランプや照明、天井が旧駅舎に準じたデザインになっていました。


3分の映像が見られます。
早岐駅 | NHK映像マップみちしる 新日本風土記アーカイブス


*1:長崎新聞 お疲れさま、早岐駅旧駅舎(2014/10/28) (アーカイブ)

*2:佐世保線上有田駅(佐賀県)は明治31年貨物駅として開業・明治42年旅客営業開始なのに、建物財産標が「明治30年7月10日」(両隣の駅の開業日)になっている、など。早岐駅の建物財産標は訪問当時既に無くなっていましたが、こちらに写真があります。デンシャと、京都と 12-08-15 #1 JR佐世保線/大村線 早岐駅 〔長崎県〕

*3:本州の同時期の木造洋風駅舎としては、関西鉄道愛知駅(明治29年)があるぐらい。