八ッ場ダムに沈む川原湯温泉駅、日本一短い鉄道トンネル、温泉街の廃墟を見納め

ハルヒと西宮北口駅前の時計塔がJR西日本「あいたい兵庫」キャンペーンポスターに登場 - きーぼー堂
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JR吾妻(あがつま)線の川原湯(かわらゆ)温泉駅は八ッ場(やんば)ダムの完成で水没するため、9月24日限りで休止します。10月1日から駅が70m高い場所に移転して営業再開し、前後の岩島〜長野原草津口駅の一部(約6km)がルート変更で大半がトンネルの新線に切り替えられます。
完成後は、後ろの八ッ場大橋(湖面1号橋)が少し水面から出るだけとなります。


先の写真の反対側から橋を見た断面図で、矢印が駅、左の凹みは吾妻川、新駅は右端の画面外です。


8月19日、大阪駅から高速バスで東京駅に着いて、京浜東北線、上野で高崎線、高崎で吾妻線と乗り継ぎ、初の群馬県入りをしました。ちなみに東京駅では、関東大震災東京大空襲を耐えて来た、1914年(大正3年)開業当時からの柱を観察。来春までに14本のうち、保存する2本の他は撤去されます。残念ですが、明らかに斜めに立っている柱があったりして仕方無いのかも知れません。
http://www.asahi.com/articles/ASG4H5CMGG4HUTIL028.html


猛暑の中、岩島駅から川原湯温泉駅まで歩いてみました。普通に行けばほぼ並行している国道145号線経由で約6kmですが、良い撮影場所を探したり迷ったりで実際にはもっと歩いてます。


新線と旧線の分岐点。大きな橋が印象的です。

ちょうど電車が走って来ました。


帰りに電車最後尾から見た分岐点。


新線の橋をバックに走る115系湘南色は関西でもまだ見られますが、良い色ですね。


去って行く651系草津」。今年3月のダイヤ改正185系から置き換えられました。
雁ヶ沢踏切からループ橋を約300m歩いた所。ダム建設に伴う145号線の付け替え区間の八ッ場バイパスに繋がる道です。川原湯温泉駅へ急ぐのでこれを撮って引き返しましたが、もっと上がれば更に良い景色が見られたようで、惜しい事をしました。
吾妻線の記録/8 松谷発電所周辺: 浅間通信員



「日本一短いトンネル」として有名な樽沢トンネル。このトンネル自体は水没しませんが、ルート変更で廃止されます。シャッターチャンスは一瞬で、本数も少ないためタイミングの誤り、時刻の勘違いで失敗してこの場所に合計1時間20分も居るはめになりましたw

全長7.2mです。初めて知ったのは鉄道ファン2001年1月号の特集「鉄道なんでも日本一」でした。


次に第一位になるトンネルは、朝日新聞呉線の川尻トンネル(広島県呉市、8.7m)、JR東日本秋田支社は五能線の仙北岩トンネル(青森県深浦町、9.5m)、マイナビニュース(2010年)は山を掘ったトンネルとしては、JR山田線の古田トンネル(11m)、と言っているので混乱して来ます。
【23日追記:出典不明ながら、長良川鉄道(旧国鉄越美南線)中野トンネルの7mが実は日本一とも。】
http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201409/20140920_23019.html
鉄道トリビア(62) 日本一短い鉄道トンネルがもうすぐなくなる? | マイナビニュース



道路から見えた八ッ場ダムの工事現場。


川原湯温泉駅の手前の第二吾妻川橋梁。


岩島駅を10時半過ぎに出発し、4時間半かかってやっと15時過ぎに川原湯温泉駅に到着。吾妻線唯一の木造駅舎で、1946年(昭和21年)開業当時のままだといいます。それが訪問の動機の一つでした。


跨線橋から。運転士は何をしているのだろう?


スーパーひたちから退いた651系の「草津」が到着。駅周辺は「もはや特急が停車する意味があるのか?」という状態ですが。

完成予想図。

駅を通り越し、長野原草津口駅側から。

線路がカーブしているので駅を正面から撮れました。


駅を出て、温泉街に向けて坂を登ります。既にほとんどの建物が取り壊されるか空き家になっていて、営業しているのは麓の郵便局の他は、しているのかしていないのか分かりにくいが従業員が見える、という1、2軒だけでした。


見渡しても建物の基礎ばかりのゴーストタウン。


寿司店跡。建物があった時の様子は全く想像出来ませんが、こちらに2011年当時と2014年9月現在の比較写真が載っていました。
ダムに沈む地域を走る鉄道が、ダム完成よりも遥か手前の今月末に新線付け替えにより廃線となると知り、いてもたってもいられなくなり、現地を訪れた。 ( 鉄道、列車 ) - PRYCE16写真日記 - Yahoo!ブログ



この「王湯」跡まで来た所で突然の夕立ち!慌てて電話ボックスに逃げ込み数分雨宿りしました。まさに、山の天気は変わりやすい。

郵便局がここから駅近くに移転したらしい。

厳重に蓋をされた露天風呂から今も湯気が上がっていました。


新駅の工事現場に辿り着きました。妙な形の島式ホームが気になります。新源泉を掘り当て、温泉街の一部がこちらへ移転して来ているようです。

奥が温泉街の出口。数年前はこの道沿いに建物があったようですが、ご覧の通り。

もう来る事は無いでしょう。


良い感じの看板。


この倉庫には謎があり・・・

建物財産標が開業3年前の昭和18年4月ってどういう事なんでしょうね。建物財産標の年月は時々間違っている事もありますが。


これまで、乗った事のある鉄道路線が後から廃止、大規模なルート変更になったという経験が無く、川原湯温泉駅周辺を大事に記憶に留めておきたいと思います。


八ッ場ダムに沈みゆく集落って最後はこうなるんだ。川原湯温泉と高台の新駅を歩く – さざなみ壊変
http://www.tokyo-np.co.jp/article/gunma/20140921/CK2014092102000176.html


川原湯温泉駅を出発した後、両毛線が信号故障で不通のため新前橋から上野へ迂回して水戸のホテルへ向かいました。

↑26日追加:最終日の9月24日に撮影した岩島〜川原湯温泉 車窓動画です。樽沢トンネルは4分22秒。