涼宮ハルヒの憂鬱舞台の変貌(改)その5 アクティ大阪


変貌その1 通学路 前編


変貌その2 通学路 後編

変貌その3 新池、中央運動公園野球場
変貌その4 大久保商店、ビゴの店甲陽園店
このシリーズ実に7ヶ月ぶり。ハルヒの舞台の中で変貌してしまった場所を紹介して行きます。今回は2006年6月25日深夜放送の1期放映順第13話「涼宮ハルヒの憂鬱V」より、閉鎖空間が発生した梅田・アクティ大阪前の横断歩道です。

ありえないくらいのタイミングの良さで通りかかったタクシーを古泉が止め、俺と奴を乗せた車は国道を東へと向かっている。乗り際に古泉が口にした地名は、県外にある大都市のものであり、電車で行ったほうが遥かに安上がりに違いないのだが、どうせ払いはこいつ持ちだ。(中略)


 周辺地域に住む人間が、街に出る、と言えばたいていこの辺りのことを指す。
私鉄やJRのターミナルがごちゃごちゃと連なり、デパートや複合建築物が立ち並ぶ日本有数の地方都市。夕日がせわしなく道行く人々を明るく彩色するスクランブル交差点。
どこから湧いたのかと思うほどの人間が青信号と同時に動き出した。その長い横断歩道の際で車を降りた俺たち二人は、たちまちのうちに雑踏に紛れた。


「ここまでお連れして言うのも何ですが」
 ゆっくりと横断歩道を渡りつつ、古泉は前を見たまま、
「今ならまだ引き返せますよ」
「いまさらだな」

原作より。西宮の東となると、梅田の事ですよね。アニメ版では阪神高速3号神戸線尼崎料金所、海老江出口が登場します。参考


2006年7月30日撮影 キョンと古泉が黒い(新川さん)タクシーを降りたのはアクティ大阪前の横断歩道。向こうは阪神百貨店です。


2008年4月25日撮影 背後は大阪駅駅ビル・アクティ大阪。大阪駅の顔にしては素っ気無いデザインで、「巨大エアコン室外機」の異名があるといいます。
阿房列車ピクトリアル 大阪駅ターミナルビル新築工事の推移(昭和55年〜定点撮影)
↑建設工事の貴重な記録。


2006年7月30日撮影 信号待ちをするキョン。実際には作中のようには撮れず、これは対面の歩道から。

2008年4月25日きーぼー撮影 2007年には信号機が変わっていました。これも今はありません。

横断歩道上からのこのアングルは撮り忘れていた事が判明・・・。4列並んだ窓のうち向かって左端を除いた3列が映っています。実物は縦方向の小窓の数が9個ですが、見えるだけで13個描かれています。

2006年7月29日柚耶さん撮影 右の塔に注目。


2007年6月4日撮竹さん撮影 アクティ大阪前の横断歩道から西を見た所。ビル群の描写は大まか。先の写真から1年経ち、右の塔は無くなりました。左端の第一生命ビルまで入れるには広角レンズが必要です。

2010年9月29日の同地点(2枚合成)。右の横断歩道は無くなりました。


2006年7月30日撮影 横断歩道の真ん中から。奥の大阪中央郵便局は曖昧に描かれています。閉鎖空間の壁は横断歩道と垂直では無く、閉鎖空間の範囲は出たとこBloggerで検証されています。

気になるこの2本の塔。

2006年6月26日柚耶さん撮影

このように横断歩道の脇に計2本立っていました。

2006年7月4日柚耶さん撮影 作中のように横断歩道の上から西側に2本見えるはずは無いんですけどね。

2007年11月3日Buzzさん撮影 この塔は2006年10月から12月頃に姿を消したようです。

2010年5月14日撮影(取材協力:kazu、ディオさん) 今でも大阪市との境界に近い豊中市国道176号線新三国橋南詰で「大阪市 OSAKA CITY」と書かれた同型の塔を見る事が出来ます。*1
2011年4月11日追記:吹田市大阪市淀川区を結ぶ十八条大橋の大阪市側にも現存しています。同2日確認。


「映像にみる大阪の道」(大阪市土木技術協会、1997年)P21に「大阪駅前のサインタワーは、平成2年に大阪市100周年記念モニュメントとして建設。(中略)後ろにそびえるアクティ大阪があまりに大きいため当初計画のデザインを拡大して設置した。」という記述を見つけました。


検索するとこの塔の正式名称は「大阪サインタワー」または「大阪市サインタワー」、設計は森田昌嗣氏、1987年第21回SDA大賞*2通産大臣賞を受賞という事が分かりました。2000年頃までは、大阪市堺市との境界に近い住吉区の吾彦大橋北詰にもあったようです。
参考:☆大阪百科☆ニュース2009-1-10 市境にある・大阪駅前にあった大阪市の塔?


2008年5月26日撮影 アクティ大阪27階展望ロビーから。阪神百貨店からは見下ろせないのです。右下の車列はタクシー。

2008年12月27日撮影 この頃はまだ原型を保っています。

2008年6月1日撮影 完成したばかりの歩道橋から見た、この日封鎖された増築予定地。

2008年8月14日撮影 杭打ち工事。それから一年後・・・

2009年8月13日撮影 視界が鉄骨に覆われる!


2枚とも2009年8月19日撮影。増築工事が進んで来ました。

2010年10月1日撮影 2月初めにはほぼこの状態でした。

2010年9月29日撮影 今では下半分だけ見れば別のビルのようです。増築部分は2011年春開業予定で、現在も工事中。

完成予想図。完成時には「サウスゲートビルディング」と名前を変えます。増築の計画は2005年に発表されたそうですが、私が知ったのは2008年でした。


この2枚2006年8月2日柚耶さん撮影 阪急グランドビルから


2010年3月1日撮影

2010年10月1日撮影 アクティ大阪の裏ではJR大阪駅が全面改装工事中で、新北ビル「ノースゲートビルディング」(地上29階、2011年3月竣工予定)とアクティ大阪の間に大屋根と南北連絡通路が造られています。

2006年8月2日柚耶さん撮影 手前がキョンと古泉が渡った横断歩道。

2006年8月24日撮影 関西の原作読者が想定していた梅田の横断歩道は、秒読み信号がある事で有名な阪急百貨店前の方だったはずです。アクティ大阪〜阪神百貨店の横断歩道に比べれば遥かに人通りが多い。


こちらはNHK連続テレビ小説「てっぱん」2010年10月1日放送分であかりが大阪に着いて人の多さに驚くという場面で使用されました*3


もしアニメ版ハルヒでこちらが登場していたらキョンと古泉は阪急百貨店屋上に上がったでしょう。阪急百貨店は解体のため放送時には立ち入り不可だったから、私たち舞台探訪者は悔しい思いをしたでしょうね。

次回は阪神百貨店屋上からの景色の変貌ぶりを紹介します。


柚耶さん(神奈井総社)、Buzzさん(ハルヒの戯言)、撮竹さん(SKY TIME)写真提供ありがとうございました。


参考サイト
神奈井総社 2006-6-26 涼宮ハルヒの憂鬱舞台の検証 その14
Linernotes 2006-6-29 涼宮ハルヒの舞台 第13話「涼宮ハルヒの憂鬱V」編
SKY TIME 2007-11-21 涼宮ハルヒの憂鬱V

*1:ちなみに豊中市の大阪サインタワーを最初に見たのは2009年4月11日、舞台探訪者サミットに参加するためMinkyさん(id:rosseta)の運転で阪急三国駅から白川郷に向かう途中でした。大阪百科ニュースの記事を見つけた直後だったので、偶然に驚いたものです。

*2:SDA=社団法人日本サインデザイン協会

*3:尾道から阪堺電車沿線(の初音の家)に行くなら、新幹線で新大阪、地下鉄かJRで天王寺、そこから阪堺電車に乗るのが普通で大阪駅は通らないはずだけど・・・、ま、いいか。