森田季節さんの新刊「不堕落なルイシュ」「ともだち同盟」発売中

珈琲屋ドリームでは既に短冊が書けるようになっています。笹は7月2日夕方に店頭に設置予定で、今までに書かれた短冊もその時に見られるかも知れないそうです(ちゃうけさん情報)。


記事タイトルの通り、森田季節さんの新刊「不堕落なルイシュ」(MF文庫J、イラスト:伊東ライフ)と「ともだち同盟」(角川書店、カバーイラスト:シライシユウコ)発売中です。2冊とも正式な発売日は6月25日ですが、ルイシュは24日、ともだち同盟は26日に入手する事が出来ました。

デビュー作「ベネズエラ・ビター・マイ・スウィート」、続編の2作目「プリンセス・ビター・マイ・スウィート」を経て「原点回帰ウォーカーズ」以降ギャグ多めの作風に変わった森田さんですが、「ともだち同盟」はベネズエラ〜の頃に近い雰囲気になっています。「不堕落なルイシュ」も一見ファンタジーのようで中々ブラックで、森田さんが初めて書いた長編小説が原型だとか。

不堕落なルイシュ あらすじ

「兄さんは無価値です。まるで犯人のわかっている推理小説。まるで砂漠の中の船。まるで諸葛孔明の退場した後の三国志。まるで穴のあいたコン○ーム。それから――」優等生で名門の出である神倉ミタマは、心優しい同級生・贄川那智に恋をしている。
しかし、ある日那智は足に重症を負ってしまい、この社会の決まりによって「処理」されることが決まってしまう。那智を救うことのできる唯一の手段「弱者保護権」。その権利を持つ姉・珠花に会うために、妹・涙珠の協力を得て家を飛び出したミタマだったが、珠花はしばらく見ないうちにとんでもない人物になってしまっていて――。

ミタマは追っ手から那智を守り通す事が出来るのか!表紙とタイトルを見なければメインヒロインは那智のような話だけど本当はルイシュ(のはず)。珠花の抽象的過ぎる日本語は何か癖になります。
人口増加抑制のための定年(回復不能なケガを負った場合も)「処分」制度がある世界…少し違うけど藤子・F・不二雄先生のSF短編「定年退食」「間引き」、世にも奇妙な物語「サブリミナル」などで描かれる近未来を連想しました。

「ともだち同盟」森田季節作品初の一般文芸で、ハードカバー。

千里、朝日、弥刀。2人の女子と1人の男子。3人の高校生はある誓いを交わし「ともだち」になった。しかし、「同盟」は朝日が弥刀に告白したことでゆらぎ…。初夏の神戸でおきる、摩訶不思議でビターダークな青春ミステリー。

「初夏の神戸でおきる〜」とあるように、作中には神戸市内をはじめ関西の実際の駅名、地名がバンバンでてきます。

「土曜日、朝日と水族館に行くので、地元民の大神君はエスコートよろしくお願いします。嫌だと言うなら、勝手に顔写真を同性愛者の出会い系サイトに登録しますよ」
通学の山陽電車で千里にそう言われたのは、火曜日のことだった。思わず千里の顔を見つめたその視線の先では、ケーキ屋ボックサンの本店が流れていく。続いて本店の後には、通過していく東須磨のホームと駅前のミニコープが目に入る。

P26より。水族館は須磨海浜水族館の事。千里の丁寧語での刺々しいセリフは「プリンセス・ビター・マイ・スウィート」のチャチャっぽいなと思ったけど黒さはチャチャの比じゃなかったw


目次からしてこの通り。

JR西日本 関西本線大河原駅山陽電気鉄道 月見山駅山陽電気鉄道 滝の茶屋駅南海電気鉄道 紀伊神谷駅JR西日本 紀勢本線白浜駅神戸電鉄箕谷駅。この中でも特に滝の茶屋駅紀伊神谷駅が重要な舞台です。
ヒロインの1人の千里は寂れた無人駅を尋ねるのが趣味で(主人公の弥刀がそれに付き合う)、その一環として大河原駅紀伊神谷駅にも行っています。紀伊神谷駅は…おっとネタバレはやめとこう。他にもたくさん駅が登場しますが、その全てに行けるのはいつになるかなあ。山陽電鉄の駅は通過した事はあるのだけど。


「不堕落なルイシュ」の舞台の大阪府来栖山市という架空の市は高槻市の隣らしいです。

森田季節さんのブログ→森田電鉄

関連:きーぼー堂 森田季節「ベネズエラ・ビター・マイ・スウィート」舞台探訪@神戸市垂水区