2011年3・12月の西宮市議会での涼宮ハルヒに関する答弁・・・市は本当に活用する気があるの?


去年10月〜今年2月の「西宮まちたび博」プレイベント内の「まちあるきプログラム」10種の中に「涼宮ハルヒ聖地巡礼」が当初予定されていましたが、実現しませんでした。今年秋〜冬の本開催の内容の正式発表はまだです。
まちたびにしのみや | 西宮を旅する素敵なプログラムです


2011年3月2日、西宮市議会でこのような答弁がありました。そのままでは読み辛いので、抜粋して転載します。それでも結構長いです。


きーぼー堂2011-07-05:2011/7/4神戸新聞にハルヒ聖地巡礼記事/西宮市が遂にハルヒで観光客誘致!?も合わせてお読み下さい。

2011年3月2日 第16回定例会
◆43番(魚水けい子) 
皆さん、おはようございます。
公明党議員団の魚水けい子でございます。
通告の順に従い一般質問をさせていただきます。

(中略)
近年、期待される新しい産業としてコンテンツツーリズムがあります。
平成16年度に、国土交通省経済産業省文化庁が合同で、映像等コンテンツの制作・活用による地域振興のあり方に関する調査報告書を出しています。報告書の第3章は、地域に小説、映画、漫画、音楽などのコンテンツ、作品を通して醸成された地域固有の雰囲気、イメージとしての物語性、テーマ性を付加し、その物語性を観光資源として活用することがコンテンツツーリズムであるとされています。


(中略)


 西宮市が映画「阪急電車」の撮影にかかわり、ロケ支援を行っているのも、コンテンツ活用による観光振興を図っていると言えます。いわゆるフィルムコミッションは、このコンテンツツーリズムの中核なのであります。報告書では、映像等コンテンツを活用した観光振興による効果として、一つ、地域の知名度の向上、二つ、既存の観光資源の魅力向上、三つ、新たな観光資源の創出を通じた集客力の向上、四つ、住民の誇りの醸成が挙げられています。映画の公開が待たれます。


 映画のロケ地観光に対し、アニメの舞台は「聖地」、そこを訪問することは「聖地巡礼」と呼ばれています。西宮は、涼宮ハルヒの聖地として有名です。涼宮ハルヒシリーズは、西宮出身で現在も西宮市在住*1という作家、谷川流の作品で、平成15年に角川スニーカー文庫より出版され、昨年9月の時点で累計650万部売れており、ことし6月、10巻目が出る予定です。その人気から、漫画、テレビアニメ、劇場版、すなわち映画、ゲームと、さまざまに展開されています。昨年春に劇場で上映された涼宮ハルヒの消失は、第15回アニメーション神戸賞の作品賞・劇場部門を受賞しています。


涼宮ハルヒシリーズがカバーするジャンルは、学園小説、SF、恋愛といった分野ですが、作者の母校・西宮北高校がモデルの学園物で、その周辺が舞台となっており、北高の校舎、北口駅、甲陽園駅、中央図書館、夙川等々、私たちになじみの風景の中で物語が展開されていきます。


平成20年12月30日の神戸新聞に、「ハルヒ、工場萌え…「サブカルは兵庫の宝」県が構想」というキャッチで、次のような記事が掲載されました。
(中略)
神戸新聞2008/12/30 08:51:ハルヒ、工場萌え…「サブカルは兵庫の宝」 県が構想(ウェブ魚拓)


 この構想に基づき、昨年、県は、「ひょうごっつ☆くーる」情報発信サイトを立ち上げております。



「ひょうごっつ☆くーる」http://hyo5296.jp/
※きーぼー注・いまいち萌えない娘が!「サブカルロケーション」→「涼宮ハルヒの憂鬱の舞台モデル(西宮市等)」を見て下さい。ちゃんとキャプ画を使用しています。※


そして、平成23年1月、兵庫県緊急雇用就業機会創出事業「地域資源活用情報発信事業」採択事業として四つの事業を決定し、その第1番目に、株式会社神戸新聞社に対し、事業名「ひょうごサブカルツーリズム基盤構築事業」を委託、兵庫県のアニメ等のサブカルチャー資源を発掘、集約した情報発信を実施する云々等としています。


(中略)
やはり観光・産業振興といった分野は、公平性の問題等、市にやれることには限界があり、インパクトのあるものができにくいと思います。信頼できる民間と提携して進めていくのが望ましいと思いますが、西宮市には、他市には類例のない民間の地域ポータルサイト「西宮流(スタイル)」があり、地域のきめ細やかな情報発信をしております。本来、観光情報発信の中核を担うべき観光協会のアクセス数が月間1万件なのに対し、「西宮流(スタイル)」は月間100万件のアクセスとお聞きしています。


 そこで質問ですが、都市型観光と産業振興のために、西宮市が全国に誇る地域ポータルサイト「西宮流(スタイル)」とタッグを組んで、戦略的に情報発信を行ってはどうかと思います。単に情報を提供し、紹介してもらうというかかわり方ではなく、民間であるというメリットを最大に生かせるよう、例えば委託という形をとり、民間の自由な立場で情報発信してもらってはどうでしょうか。お考えをお聞きいたします。


 また、この「西宮流(スタイル)」に涼宮ハルヒ関連の広報や観光ルートの開発等を行ってもらってはいかがでしょうか。現在、映画「阪急電車」公式ホームページに、「西宮流(スタイル)」の記者が書いたメーキング日記が掲載されています。内容がよかったので、うちのホームページに載せるからとなったとお聞きしています。従来型の観光になじまない若者を取り込むために有効な取り組みだと思いますが、お考えをお聞きいたします。

↑「西宮流」http://nishinomiya-style.jp/


※きーぼー注・「西宮流」HPからもリンクが貼られている、西宮市が2009年に開設したHP「西宮文学回廊」http://nishinomiya.jp/bungaku/ では谷川流さんとハルヒが紹介されています。 関連:きーぼー堂2011-06-17 ハルヒと西宮市立図書館の関係&谷川流作品所蔵状況


◎市民局担当理事(野島比佐夫)
1番目の都市型観光と産業振興についての御質問にお答えいたします。
(中略)
 2点目の、「西宮流(スタイル)」で涼宮ハルヒ関連の広報や観光ルートの開発等を行ってはどうかについてでございますが、近年、小説、漫画、映画、ドラマ、アニメ、ゲームなどの作品について、モデルになった場所やロケ地をめぐる、いわゆるコンテンツツーリズムに取り組む自治体や観光協会が増加しております。


文教住宅都市として発展してきた本市には、多くの芸術家や文人が居住し、また、本市を舞台とした文学作品などが数多く存在しております。本市を舞台として描かれた涼宮ハルヒシリーズは、当初、ライトノベルとして発表されましたが、アニメ化され、一部の若者から支持を集めております。また、野坂昭如氏の「火垂るの墓」の舞台となったニテコ池や、近年では、テレビドラマ「ゲゲゲの女房」で注目を集めました漫画家の水木しげる氏は、今津において紙芝居の専業作者として数年居住し、その後の水木作品のキャラクターの原型が西宮で生まれたと言われているなど、文学、アニメなどにゆかりの深い地域であります。


こうした地域資源の活用を図るため、現在策定いたしております西宮市都市型観光推進計画の中で、本市にゆかりのある文学作品や作家、アニメーションなどを活用し、舞台となった場所や記念碑など、ゆかりのある場所をめぐるまち歩きコースを企画、提供していくこととしております。


 御質問の涼宮ハルヒ関連の広報や観光ルートの開発等につきましては、著作権法上の問題を解決する必要がございますが、従来型の観光と違った若者を取り込めるなど、一定の効果があるものと考えております。したがいまして、「西宮流(スタイル)」と連携いたしまして、兵庫県がアニメ等の新たな地域資源を活用し、情報発信いたします地域資源活用情報発信事業とも連携し、涼宮ハルヒの舞台をめぐる観光コースづくりなどにも取り組んでまいりたいと考えております。

以上、平成23年 3月(第16回)定例会−03月02日-07号より。議会でハルヒの話題が出たのは初めての事で、意外と詳しく説明され具体的な提案もあり驚きました。


この事をブログに書くにあたって改めて議事録を調べた所、その後12月にも以下の答弁があった事が分かりました。

2011年12月9日 第3回定例会
◆4番(谷本豊) 
皆様、こんにちは。
無所属新人議員の谷本豊と申します。
傍聴席の皆様、さくらFMをお聞きの皆様、ありがとうございます。
(中略)


 まちたび博プレ事業の公式ガイドブックを見ると、本市は、地域ごとに特色があり、個性豊かな魅力あふれるまちだと改めて実感しました。けれど、一つ、残念なことに気づきました。村上春樹氏がなかったということです。私は、中学校に入学したとき、村上春樹氏の父親が教頭先生でした。また、西宮在住の知人が、おれ、村上春樹氏の家へ行って、村上春樹氏とチャンバラごっこしたことあるぞということもあり、村上春樹氏は身近な存在でした。実際、村上春樹氏は、西宮出身で、西宮を舞台とした文学作品もあります。

(中略)

しかし、プレ事業のガイドブックの中で、文学関係は、7の有川浩氏原作の映画「阪急電車」ロケ地ガイドツアーぐらいかなと思われます。また、アニメ好きの知人が「けいおん!」の集客力はすごいぞ、西宮には「涼宮ハルヒ」があるやんと言います。当初ライトノベルとして発表された「涼宮ハルヒ」シリーズは、アニメ化され、西宮を訪れるファンの方も多いと聞いています。


 ここで1点質問します。
 本市は、文学やアニメなどにゆかりが深い地域ですが、今年度開催中のまちたび博プレ事業では、文学、アニメをテーマとした観光プログラムが少なくて残念です。特に、海外でも多くのファンを持ち、ノーベル文学賞候補にも挙がっている村上春樹氏とハルヒを題材とした観光プログラムをつくれば、全国から注目を集めることになります。
(中略)お考えをお聞かせください。



◎市民局担当理事(野島比佐夫) 

2番目の都市型観光についての御質問のうち、ただいま市長がお答えをいたしました以外の点につきましてお答えいたします。


(中略)
村上春樹氏や涼宮ハルヒ作品などの文学、アニメをテーマとした観光プログラムにつきましても、著作権法上の問題を解決する必要がございますが、西宮まちたび博の話題性を高める有効な手法であることから、関係機関と協議し、実現の可能性について検討してまいります。

平成23年12月(第 3回)定例会,12月09日-02号より。


河野市長からのコメントは得られず。回答しているのは3月の時と同じ方で、回答内容は全く同じ・・・。西宮市側は「著作権法上の問題」をまだ解決出来ていないとは。現在も新たな動きはありません。これだと、型通りの回答をしておいただけと受け取るしかありません。


魚水けいこ議員は当時62歳、谷本豊議員は当時42歳。谷本議員は2011年4月に市議に当選したため、魚水議員が3月に同じ質問をしていた事は知らなかったようです。


2012年8月下旬に西宮でハルヒに関する展示会を行います【関西新文化振興会】 - きーぼー堂

*1:谷川流さんが現在も西宮市に住んでいるのかははっきりしていません。