走れ!ケー100と大江戸捜査網のBGMの関係

伝説のドラマ「走れ!ケー100」道路を走る蒸気機関車で日本縦断! - きーぼー堂
走れ!ケー100ロケ地探訪(1)門司港駅・関門トンネル・旧門築大久保駅 - きーぼー堂
走れ!ケー100ロケ地探訪(2)大阪(前編)御堂筋・中之島公園・(株)オーヨド - きーぼー堂
走れ!ケー100ロケ地探訪(3)大阪(後編)大淀・中津 - きーぼー堂
走れ!ケー100ロケ地探訪(4)山形〜羽黒山(出羽三山神社)・鶴岡銀座商店街〜 - きーぼー堂
走れ!ケー100ロケ地探訪(5)向ヶ丘遊園・東京都多摩市桜ヶ丘・狛江市 - きーぼー堂
走れ!ケー100ロケ地探訪(6)港区麻布台・新宿駅西口 - きーぼー堂
走れ!ケー100・40周年記念パーティー参加レポート - きーぼー堂

里見浩太朗主演の大江戸捜査網を見ていたら走れ!ケー100のBGM(劇伴)が流れて来て驚きました。どちらも音楽が玉木宏樹氏とは知っていたのですが。


大江戸捜査網はケー100の放映途中で始まった第3シリーズで制作が日活から三船プロに変わっていて、その際に何故かBGMも一新されています。同じ曲をわざわざ再録音して、一部は若干アレンジされたりテンポが速くなったりしています。制作会社が変わった都合で前の音源が使えなかったのでしょうか?


第1・2シリーズも視聴して分かった事をまとめてみました。


●第1シリーズ 全52話 70年10月〜71年9月
主演:杉良太郎 ※初期は「大江戸捜査網 アンタッチャブル
第7〜19(11は欠番)・30・43〜45話の計16話を視聴


●第2シリーズ 全52話(通算53〜104) 72年4月〜73年3月
主演:杉良太郎
第57・75・77・95・97・102話の計6話を視聴


●第3シリーズ 全536話(通算131〜713) 73年9月〜84年3月
主演:杉良太郎里見浩太朗松方弘樹
77〜78年放送分を中心に計約40話を視聴


参考サイト
大江戸捜査網 - Wikipedia
大江戸捜査網 脚本・監督データ


<曲A>
【走れ!ケー100】
使用例
●第7話「シュッポシュッポ海の上 広島の巻」
・アキオが砂浜でケー100を見つける
●第8話「どうして、どうして後もどり?岡山の巻」
・マリに倉敷の幼稚園に寄る約束をさせられる
●第30話「それ行け登れ!二千段 山形の巻」
鶴岡市へ便利屋として買い出しに行く
●第40話「教頭先生は大助かり 大山の巻」
・ヒロシに出会う


大江戸捜査網
良く聴き比べるとケー100版と少し演奏が違う。第3シリーズでコメディーチックなシーンで使用。


●301「壮烈!首領、暁に死す」VHS収録
・内藤勘解由とお頭(三船敏郎)の会話
●335「隠密変化!謎の女」VHS収録 流れ星おりん(かたせ梨乃)登場
・ラスト、魚屋としておりんが走る
●358「嘘八百に賭けた夢」
・冒頭、縁日で絹の反物の口状を述べて売りさばくお花(鶴間エリ)
●362「遊女が秘めた謎の暗殺」
・岡場所で働く音次郎と金太
●367「遺産に群がる狐と狸」
・聞いた事も無いおじの遺産が入ると分かり、大勢の近所の人々に祝われ帰宅する熊五郎
●368「高利貸し百一文の陰謀」
・よし坊に付き添われてサラ金=更科屋金兵衛から金を借りる音次郎


どちらが流用なのか不明でしたが、ケー100より先に放送された第1シリーズでテンポが遅い別バージョンの使用が確認出来た事で、大江戸捜査網が元祖と判明しました。


●45「小判に秘めた恋」
ラストで「一つの事件が落着すると、決まってそこには人々の情愛の世界が待ち受けている。が、隠密同心はその世界に立ち入る事は出来ない。」というナレーションと共に流れる。


<曲B>
【走れ!ケー100】
第17・49話冒頭の紋太さんによるあらすじ説明シーンなど多数。


大江戸捜査網
第3シリーズのみで使用を確認。ケー100版とそっくりだが、合の手的な「ピロピロリ」という音が鳴らない。
●283「命を賭けたいかさま稼業」
●363「江戸っ子魚屋の世継ぎ騒動」
●367「遺産に群がる狐と狸」
・遺産を大喜びで大八車で運んで来る熊五郎と長屋の人達
●368「高利貸し百一文の陰謀」
・よしぼうに大根の売り声を教わる音次郎


<曲C>
【走れ!ケー100】
第7話広島編でアキオが自転車で家を出発するシーンなど。


大江戸捜査網
●14「初姿!花の喧嘩状」
・金を取って女湯をのぞかせるおとら
・仙吉に帯を締めてもらうおとら
●16「喧嘩渡世 命売ります
・珊次郎、桜湯の2階にあわの右近(天知茂)を連れてくる
・珊次郎と右近が丁半博打に負けて言い合いをしながら歩く
●17「斬り込み大作戦」
・帰って来ない珊次郎、十蔵を心配するお七・仙吉・おとら


<曲D>
【走れ!ケー100】
第9話兵庫編の神戸港からの追いかけっこシーンなど多数。


大江戸捜査網
第1シリーズで事件が一件落着したラストシーンで使用を確認。ケー100版よりかなりテンポが遅い。
●16「喧嘩渡世 命売ります」ラスト 前奏から使われている
●44「狂った狼の群れ」ラスト 


第3シリーズではメロディはやや変わっていますが、これをアレンジしたようなテンポの速いシリアスな曲が存在し、「江戸の灯をたやすな!」(横浜の放送ライブラリーで視聴可能)で使用されています。サントラの6曲目。



<曲E>
【走れ!ケー100】
第10話大阪編で夜に水晶橋の上でカオリに決意を話す隆・野川先生に説教される紋太さんのシーンなどで流れる優しい曲。


大江戸捜査網
第2・3シリーズで使用を確認。
●75「おふくろ慕情」
小波に息子のシンキチの事を信じていると話す母親(丹阿弥谷津子)
●97「御神火太鼓に男が燃える」
・珊次郎が太鼓の練習を手伝うと言ってくれたので、やる気を出すツネ 短め


●368「高利貸し百一文の陰謀」
・よし坊が父上なんて嫌いだと言う


というわけで、ケー100のBGMのうち大江戸捜査網の日活制作分で原型のBGMが存在していた事が分かったのは4曲あり、三船プロ制作分のみで確認出来たBGMが1曲ありました。無関係の他作品で音源そのものの流用では無く、アレンジを変えて演奏し直して使うというのは稀な事だと思います。


同様の例を紹介してみます。


映画「動乱」(1980)BGMから機動戦士Zガンダム(1985)BGM (作曲:三枝成彰)
参考:Zガンダムサントラ スコア流用:風雲アヘアヘ黙示録:So-netブログ
「動乱」のBGMは音楽製作がキティだった繋がりでうる星やつらで流用されたとか。
参考:うる星7・その他の音源


「戦国ロック はぐれ牙」OP(1973)からルパン三世(1977)サブタイトルBGM(作曲:大野雄二)


NHK少年ドラマシリーズ夕ばえ作戦」(1974・映像が現存するかは不明)のテーマ曲から「江戸の旋風Ⅱ」(1976)テーマ曲(作曲:服部克久)

江戸の旋風ⅡはBSフジの再放送が間もなく最終回。


テレビ番組では無いですが、モントリオール・オリンピック記念で1976年に発売されたマーチーズの「バレーボール応援歌」が何故かジャイアントロボ(1967)主題歌のメロディほぼそのままで面白いです。作曲は山下毅雄氏。CD「ヤマタケ・フォーエバー」に収録されています。


大江戸捜査網のサントラCDは一応1枚発売されています。収録時間が59分しか無く、ブリッジを数十種収録している反面、殺陣シーンで頻繁に流れるカッコイイ曲や毎回ラストで流れる爽やかな曲が入っていないなど、かなり微妙な選曲です。ED「流れ橋」の曲名を「いろはにほへと」と間違えています。


ジャケットのロゴが「大江戸捜査網 アンタッチャブル」で第1シリーズ初期を思わせますが、三船プロに移ってからの音源しか入っていません。まさか音源紛失してないですよね?


大江戸捜査網 第1シリーズがCSのファミリー劇場、第3シリーズがホームドラマチャンネルで放送中です。
大江戸捜査網【連日】 || ファミリー劇場
http://www.homedrama-ch.com/hdc/program?action=showProgramDetail&oa_prg_frm_cd=113070521261836403

追記:2014年1月6日から第3シリーズの再放送がBSジャパンで開始されました。
http://www.bs-j.co.jp/official/ooedo/


第1シリーズは第19話までだけDVD化されていて、DMMやゲオ(1・2巻が無い)でネットレンタルが可能です。第3シリーズは計6話がVHS化されたのみ。

私は第3シリーズから入りましたが、終盤の展開がワンパターン化(「行こうか」→隠密同心 心得の条が流れる中を歩いて悪人の屋敷に乗り込む)していなくて、山猫お七(岡田可愛)が居る第1・2シリーズの方が好きになりました。


ケー100のサントラ出して欲しいなあ。ケー100のBGMはドラマ「陽あたり良好!」(1982、音楽:小林亜星、武市昌久)、「三匹が斬る!」(1987〜95、音楽:小林亜星)で何故か流用されているらしいですが、自分では確認出来ていません。


ちなみに、玉木宏樹氏の音楽担当作品はケー100と大江戸捜査網の他に怪奇大作戦(全話)とアニマル1(第1・23〜最終27話)も見ました。