HDデータ復旧の業者選びを間違い続けた体験記【その2】

その1の続きです。


いままでのあらすじ


2012年
11月9日夜:外付けHD故障
11月10日:業者Uへ発送
11月13日:業者U、自社では復旧不可とメールが来る
11月14日:業者Tのおじさんと36分通話、どうしても引き受けてもらえない
11月15日:Uから送り返されたHDを業者Sへ発送



図はHDD NAVIより。
ハードディスクは、磁性体が塗布された「プラッタ」という金属製の円盤にデータを記録しています。高速で回転するプラッタに、アームを動かして先端の磁気ヘッドを、僅かな隙間をあけて近づける事でデータの読み書きをしています。


直接接触するかしないかの違いはありますが、レコードプレーヤーの構造に似ています。


ハードディスクの異常は論理障害物理障害の2つに分類されます。


論理障害は、物理的に故障してはいないもの。OSの不具合、ファイルシステムの損傷、誤操作によるファイルの削除、ウイルスによる被害などが含まれます。個人でも復旧ソフトなどで対処可能な事もあります。フォーマットすれば(データは戻りませんが)HDが正常に使えるようになる場合も。


論理障害でもHDが認識されなかったり重度の場合は、業者に依頼が必要になります。


厄介なのが物理障害
モーターや、アームを制御する基板の故障が原因で正しく動作しないだけでプラッタが無事なら、復旧は比較的簡単らしいですが、衝撃を与えたり経年劣化でヘッドがプラッタに食い込んだまま稼働して、傷がついたとなると一大事です・・・。プラッタに傷がつくとその部分の磁性体が剥がれて、物理的にデータが無くなってしまいます。


稼働させ続けると更に傷の範囲が増える可能性があるので、衝撃を与えたり「キー」や「カッコンカッコン」などの異音がした場合は早く使用を止めましょう。



https://www.youtube.com/watch?v=9uQP1i41BeQ
ハードディスクの断末魔の叫び

disk read errorの出た2.5インチHDDのディスクイメージ取ってたら、途中で異音を上げながらエラー吐きまくって完全に死んでしまった・・・

Youtubeより。この叫び怖すぎるwww


●業者S(東京都港区)


東日本大震災で被災したHDのデータ復旧でも実績があるという業者です。
HDを送る前にサイトのフォームからHDの型番と症状を送信した所・・・

お問い合わせいただいた内容より当社実績上、お客様と同様の障害状況からのデータ復旧に成功しております。但し、復旧可否につきましては診断後となりますことご了承ください。


ご申告いただいた障害内容は中度障害以上の状況となる可能性もございますが、まずは軽度障害の料金をご案内いたします。

まだ何も調べていないのに、期待を持たせる書き方はどうかと思います。
1TBのHDだから、初期障害の場合が88,000円との事。


それからHDを発送し向こうに到着して、外装プラケースを開ける許可を求める電話が。器具を使って開けるため傷がつくそうだけど、承諾。他の社員の電話の声がはっきり漏れ聞こえてるのが気になりました。


そして、初期診断が完了。

弊社におきましては重度障害と判定しました。重度障害における処置を施す事により、復旧可能となる可能性が残されております。


・重度障害における診断は、ハードディスクの解体作業を伴います。


・ハードディスクの状況からはヘッド不良またはプラッター損傷の可能性がございます。必要な処置を施させていただき、更なる診断を試みさせていただければと考えております。


なお、該当処置をするまではそれ以外の状況が分かりませんので、現段階では復旧可否を判断する事が出来ません。


重度障害における処置をする事で復旧をお約束するものではございませんが、以下条件をご理解・ご承諾の上、重度障害における復旧作業(解体作業を含む重度障害の初期診断)をご希望される際は、ご了承をいただいた後、更なる診断を承りたく存じます。


【重度障害の診断作業に伴う注意点】


・ハードディスクを解体すると、その後他社様では復旧出来なくなる可能性がございます。つきましては、他社様にご依頼検討していらっしゃる場合は、解体復旧をお勧めしません。



・作業の結果、復旧可能となりました際は、重度障害における復旧料金
 (重度障害 447,000円)のご請求となります。


うわあああああああ!!!!払えないから!!!!
サイトの料金案内では軽度障害、中度障害、重度障害の3段階がありました。具体的な料金が書いてあるのは軽度だけで、中度・重度では「診断後に詳しい料金をご案内」と書いてあるだけで、予想がつかなかったのです。



時間の無駄でした。
まだ開けても無いのに料金が決まってるというのも妙です。当然、返却してもらう事にしました。



●有限会社IUEC(東京都北区)


http://www.iuec.co.jp/

サイトを見ると技術的な説明が詳しく、データ復旧事例も豊富、設備も整っているようです。

他社に調査をご依頼いただいている場合、作業報告書の確認が必要となります。
※ 内容を拝見いたしまして、問題ない点を確認できてから、ご依頼を受け賜ります。


サイトにこう書いてあります。前の業者が何をしたか分からないと、責任を持てないので引き受けられないという事です。作業報告書を出さない業者に依頼して復旧不可能だった場合、次に依頼しようとした業者に拒否されるはめになるかも知れませんよ。


今まで調べた業者の中では(一般人には手が出せないオントラックを除けば)一番良いと思いIUECに依頼、HDを送りました。


IUECを知る前は、秋葉原に本社がある韓国系のLIVE DATA大阪支社(2011年5月30日開設、2013年2月28日閉鎖)に仕方なく持ち込もうと思っていた所でした。


11月22日、初期診断作業完了。
ヘッド先端の損傷と、プラッタ歪みによる複合的な物理障害と判明。
ATAコマンドで「IDENTIFY_DEVICE」の取得に成功、よってファームウェアは正常(この辺りは私には良く分かりません)。なのでヘッドを交換し認識状態に移行させるまではまず問題なく、歪んだプラッタをデータスキャンにかける作業を慎重に行う事が肝心だという事です。


最悪の状態では無いようで、ほっとしました。
見積もりは5段階のうちのレベル5、物理障害重度(16万8000円〜19万9500円)のうちの最低額、16万8000円


先の業者より信用出来そうだし、データが戻って来るなら、これだけ払っても惜しくはありません。すぐに作業続行を依頼しました。


これまで暇さえ有れば似たデータ復旧事例や業者を探したりして何も手につかなかったんですが、これでやっと落ち着きました。



その3(最終回)に続く